あの飼い猫が見つめていたものは

通算すると、もう何十年という歳月をネコと一緒に暮らしてきました。
自慢じゃないけど、お金をだしてペットショップから買い求めた高級な猫は1匹もいません。みんな野良猫です。彼らと過ごした日々には楽しい思い出もたくさんありますが、具合が悪いことに気がつくのが遅れてあるネコが亡くなったときは、立ち直るの数年を要しました。ネコは室内ではなく放し飼いにしていましたので、ご近所の人にご迷惑をおかけしたと思います。

近所のアパートに、おそらく数年にわたって真っ白なネコを飼っていた人がいます。飼い主がどんな人なのかわかりませんが、不在がちの人のようで、外出時は窓を開けたままにしてありました。白いネコは毎日、小さな網戸越しに外を眺めていました。そのアパートは丁度、通勤経路にあたっているので、私もそのネコのことを毎日見ていたのです。アパートの近辺には始終、野良猫がたむろしており、繁殖時期には生まれたばかりの子猫がじゃれ合う姿をよく見かけました。白いネコは彼らに向かって鳴き声をあげるでもなく、ただ、黙って熱心に外の世界をみようとしていました。

ところが、2週間ほど前から白ネコの姿が見えなくなっていることに気がつき、胸騒ぎを覚えました。ただ、部屋の別の場所に移動しただけか、あるいはスキをみて、逃げ出したのかもしれません。ですが、病気で亡くなってしまった可能性もあります。私は生涯、外の世界を知ることがなかったかもしれないあの白いネコが、日々、何をみていたのか、何を思っていたのかと少し感傷的になっています。キレイモ 予約